2011年10月27日

価値あるものは、能力か存在か。

『先生ね、私、私じゃなくなるんじ
ゃろか?』

最近、医師から認知症と診断され、『脳がスカスカになっていく』病気と自分なりに解釈してしまった利用者さん。

こんにちは、津田です。

『あの人最近おかしいね』という他の施設利用者の声を偶然聞いてしまってから、特に周囲の噂に敏感になってしまい、その都度『鈍い』『ボケた』などと聞かされてきたそうです。

『怖いとよ、わたし。身体が動かんなって、頭が病気で馬鹿になっていくと解って。生きてていっちゃろか?』

震えながら話していただいて、しかし私は手を添え瞳を見つめながら頷く位しかできません。

この方が聞いた『噂』がどの様な背景で語られ、どの様な経緯で聞いたのかは解りません。

しかし、つもりの善し悪し関係無くこれら周辺の反応を
トム・キットウッド著『パーソンセンタードケア』において、『悪性の社会心理』と呼んでいます。

そしてこれらの環境がその人の居場所を奪うことで不安を抱えさせ、やがて孤独を感じ、恐怖を覚え、絶望感に晒される事で自身の存在価値を見失ってゆくと言われています。

そうならないためには、少なくとも その『病態』ではなく『その人らしさ』を我々がいかに見いだし、受け入れていけるかにかかっているのかもしれません。

『自己肯定感』

能力の自信より存在への自信。
全く関係の無い書籍に書かれていた心理学用語ですが、ここにひとつの共通点が見いだせます。

そう言えば、以前ブログで紹介した『一応の師』H氏に言われた事があります。

『お前はお前のままで』

今思えば、私自身もこういった一言で支えられた気がします。




Posted by 自立援助協会スタッフ  at 22:13 │Comments(0)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。


削除
価値あるものは、能力か存在か。
    コメント(0)