2014年06月26日

クギ。

『リハビリはしなくて良いです』

どうせ治らないからと、初回訪問時にそう語るのは同席頂いた利用者の娘さん。

職業が理学療法士だけあって、私が安易な期待を与えないようクギを刺された様に見受けられました。

こんにちは、津田です。

脳梗塞後遺症、左片麻痺。

当初、気難しいから気を付けてと言われるこの方、主に車椅子で生活されており、日常で歩行はもちろん立つこともほとんど無く、移乗動作も基本的には施設職員が主導で行います。

『わたしゃ治らんのじゃろか?自分で出来ることは自分でやりたい。』

あれま…

《自己肯定感》

自分で出来そうなこともやらせてもらえない現状が、この方の生活する意味そのものを奪っているかもしれない。

であれば、何かにが出来るといった短絡的な予後を求めるより、いかにして充実した生活を送るかを争点にした方が理解が得られるかもしれません。

とはいえ、娘さんの手前、刺されたクギをそう簡単に抜くわけにもいきません。

『治る治らないを問題にするではなく、今できることを捜しませんか?』

そう伝えても難色を示す娘さん。

ならば、

『今できることを活用して、一日の楽しみ方を見つけていきましょう!』

結果、ちょっとしたコツで起き上がれることが発覚。

踏ん張り方を意識したら、自分で移乗出来ることも、杖と装具を使えば40メートルくらいは見守りで歩ける事も発覚。

フロアから自室まで、一切の手伝い無く歩き、装具を外し、横になることが出来るのも最近になって発覚。

『夏までには左手で、冷たいお茶が飲めるといいね!』

あの頃、伺うことすら無駄だと言われていた事もあった様ですが、今では訪問回数を増やす相談にも快く賛同して頂くまでになりました。

いつの間にか朽ちて抜け落ちたらしいクギ。本当に有り難いと、そう思っています。



Posted by 自立援助協会スタッフ  at 22:07 │Comments(0)

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