2012年07月19日

非力な道具。

『ちょっ!危ないから立たんで!!』

『あ〜何すっとか!危ないやろが!!』

ある方の施術終了後、ふとエントランスに目を向けると、別の施設利用者を座らせようと悪戦苦闘している職員の方がいらっしゃいました。

こんにちは、津田です。

レビー小体型認知症。
幻視・幻覚・幻聴に加えて実質ほとんど耳が聞こえない方。

指示応答がかなわず、まだその介入の仕方に施設職員方が困惑していた頃のエピソードです。

この騒動の要因として、
1.この方が何か目的があって立とうとしてたこと
2.その目的を繰り返し遮られた事で興奮状態になってたこと
3.それに気付かず『危ないから』という、本人にとって全く無関心な理屈で一方的に座らせる事のみ執着してしまった事
そして意志の疎通が成り立ってなかった事などが主に挙げられる様です。

私が介入してみると、幸いその時はちょっとそこにモノが落ちてるから拾おうとしただけだということに気付き、その目的が果たされると後はじっと座って頂けた様でした。

もちろん、現実には何も落ちてる訳でなく、職員の方もその事には気付きようがありません。

そしてその後の展開は以前アップした通りです。

コミュニケーションの基本原則はまず傾聴であると良く言われます。

こういった時、声無き声にいかに耳を傾ける事が出来るか、いつもその難しさを痛感します。

言葉というモノの非力さを実感すると同時に、そんなものに頼ってつい知った気になりがちな自分を恥ずかしく思います。



Posted by 自立援助協会スタッフ  at 21:56 │Comments(0)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。


削除
非力な道具。
    コメント(0)